作業手順書(業務マニュアル)とは?!記載すべき事柄?!注意点?!一般的な作り方を解説!!
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はじめに
一昔前までは、「一人の人が一つの仕事をひたむきにおこない、定年前に次の担当者へ引き継ぐ」という形が取られていました。
しかし、現在では「一人の人が複数のお仕事を抱える」「常に他の部署へ移動する可能性がある」といった状況が普通になっています。
要は、「スピードが求められている」という事です。
「より早く引継ぐ」「より早く作業に取り組む」、このような事がおこなえるように準備する必要があります。
その為に必要な物が「作業手順書」になります。
今回は「作業手順書」について触れたいと思います。
「作業手順書」としていますが、「手順書」「作業マニュアル」「業務マニュアル」など、呼ばれかたは複数あります。
これらは会社により「違う物」として取り扱われているかも知れませんが、ここでは全て「同じ物」という認識といたします。
ひとつひとつのお仕事を全て記憶するのは難しく、記憶するまでの時間も必要とします。
そして全てを記憶し、作業を完全におこなえるようになる頃には、部署の移動となる事があります。
そうすると、「これまでにかけられた時間や労力が無駄」になります。
「作業手順書」を作成し、それに従いお仕事をおこなう事で、こうした「時間や労力の無駄を省く事」も可能になります。
作業手順書とは
「作業手順書」とは、「作業の進め方や手順を明確にした文書」になります。
「作業を滞りなく進める」事を目的にして作成します。
「作業手順書に記載すべき事柄」をご紹介します。
作業の目的と背景
「作業の目的」と「その作業が必要な理由」を記載します。
対象者・担当者
「作業手順書が対象とする組織・チーム・担当」などを記載します。
たとえば、「この作業手順書は営業部員向けです」といった形で、対象者を明確にします。
使用するツールや設備
「作業の実行に必要な道具、機材、ソフトウェアなどの情報」を記載します。
なお、これらのツールや設備を利用する為の「基本的な操作説明」などは「別途、情報の保管場所やリンク」を作ると、参照しやすくなります。
注意点・安全対策
「作業における注意事項」や「安全に進めるためのアドバイス」などになります。
例えば、「この工程では手袋を着用すること」や「特定の操作を誤るとデータが消失する可能性があります」といった情報です。
手順の詳細
「作業の各ステップ」を順序立てて分かりやすく記述します。
可能であれば、番号や箇条書きでわかりやすく整理してあると、読みやすい手順書になります。
また、「操作画面や機材の写真など、画像や図解による視覚的な補助」があると、理解が促進されます。
関連資料・参照リンク
「関連する資料」や「より詳細な情報を参照できるリンク」など、適切に配置する事で付加情報にアクセスしやすくします。
確認項目・チェックリスト
「作業の各工程が正しく実行されたかどうかを確認するためのチェックリスト」や「最終確認事項」を記載します。
トラブルシューティング
作業の進行中に起こり得る「問題やエラーに対する対応策や問い合わせ先」を記載します。
更新履歴
「更新履歴」とは、手順書の更新の際、「どの部分をいつ誰が変更したのか?」という情報になります。
この「更新履歴」により、「最新の手順書なのか?」「どこの手順に変化があったのか?」などが明確になります。
以上、「作業手順書に記載すべき事柄」になります
とはいえ、これらを「テキストベースでズラズラ」と書かれていても、「非常に読みづらい作業手順書」になります。
よって、オフィス製品などを利用して、「項目別で読みやすい作業手順書」としてまとめられているのが理想ですし、これが実態になっています。
なお、ご自身で「作業手順書」を作る機会ができた時、基本的には「すでに会社にある作業手順書」を雛形として利用するようにして下さい。
これは「作業手順書のフォーマットの規定」が存在している可能性がある為です。
万が一、「作業手順書が存在しない」場合や「作業手順書のフォーマットの規定が存在しない」場合は、ネットにて「手順書 雛形」などをキーワードで検索してください。
ご自身の作業に沿った「項目別で読みやすい作業手順書のサンプル」をいくつか見つける事ができます。
ちなみに「理想的な作業手順書」という物があります。
これは、「作業の流れに沿って記載されている事」「簡潔で読みやすい記載である事」という条件がクリアされている物になります。
よって「作業手順書」を作る時は、これらの事を意識するようにしてください。
できるだけ、「理想的な作業手順書に近づける為のアドバイス」をご紹介します。
イレギュラーなケースの記載
前述の「作業手順書に記載すべき事柄」にて、「トラブルシューティング」がありました。
この「トラブル」とは、通常は発生しない事柄になります。
よって、「イレギュラーなケース」になります。
実際に手順書を書くと、その作業を熟知している人ほど、この「イレギュラーなケース」を手順として記載してしまいます。
「イレギュラーなケース」を「手順の流れ」に記載してしまうと、それは「通常、起こる事」という認識になり、「作業者を勘違いさせてしまう」事態になります。
「イレギュラーなケースの発生は稀」です。
よって、作業手順書を作成する時は、「作業をおこなう順番に記載」する必要があり、「イレギュラーなケース」は、付加情報として別に「イレギュラー発生時の手順書」として作成します。
とはいえ、「どこから、どこまでがイレギュラーなのか?」、このような「疑問」が生まれます。
この「疑問」については「判断基準」が必要になります。
例えば、「放置する事により問題が発生するか?」になります。
「問題がない」場合は、「手順書は不要」です。
「問題がある」場合は、「イレギュラー発生時の手順書」が必要です。
また、「会社やお客様に影響があるか?」という視点も重要です。
「影響がない」場合は、「手順書は不要」です。
「影響がある」場合は、「イレギュラー発生時の手順書」が必要です。
この他にも「過去の実績」や「様々なケースの想定」にて、職場全体で相談をして「判断基準」を作るようにしてください。
手順の視覚的な補助
前述の「作業手順書に記載すべき事柄」の「手順の詳細」にて、「画像や図解による視覚的な補助」という文言を挙げました。
この「画像や図解による視覚的な補助」が「スクリーンショットなどの画像情報」や「フロー図などの図解情報」になります。
「よく利用される画像情報や図解情報」をご紹介します。
スクリーンショット(画像情報)
「作業をおこなっている時に目に入る情報」になります。
「写真」「スクリーンショット」などを取得し、それらについて、「説明やコメント」「付加情報」などを記入します。
これを「実際の作業の流れに沿って作成」します。
「現在、おこなっている事に誤りがないか?」を視覚的に判断できます。
なお、画像情報に多くの「説明やコメント」「付加情報」などを入れすぎると、逆に理解しづらい物になります。
画像情報を入れる時は、「説明やコメント」「付加情報」をできるだけ減らすように工夫してください。
フロー図(図解情報)
「フロー図」とは、「作業の流れについて図形を用いて可視化した図」になります。
「流れ図」とも呼ばれています。
「開始条件」「作業の工程」「判定基準」などを作業の流れに沿って記載します。
この「フロー図の通りに作業をおこなう」事で、お仕事が完了になります。
「フロー図」の通りに作業をおこなえば良いので、「作業の流れを覚える必要」がなくなります。
タスク担当者一覧(図解情報)
「タスク担当者一覧」は「フロー図を作業担当者別に表した一覧」になります。
「だれが」「どのような作業をおこなっている」といった視点になり、「作業の行程」や「責任の範囲」を知る事ができます。
そして、この「タスク担当者一覧」がある事により、「影響範囲」を知る事ができます。
この「影響範囲」を知る事で、例えば「イレギュラー発生時の連絡先」としても利用できます。
以上、「理想的な作業手順書に近づける為のアドバイス」になります
「図解情報」については他にも多くの物があります。
これを機に、「ご自身のお仕事の作業手順書に利用できそうな図」を調べると、今後のお仕事の役に立つかも知れません。
なお、「作業手順書」を作成した時、同じ職場の人に確認をお願いするようにしてください。
これは、「誤字脱字のチェック」はもちろんですが、「過不足がないか?」「自分に偏った物になっていないか?」の確認になります。
作業手順書の注意点
「作業手順書の注意点」をご紹介します。
イレギュラー発生時の作業手順書が大切
「イレギュラーな事態」は、頻繁に起こりません。
よって、「対応方法を忘れている」場合があります。
「イレギュラーが発生した」時は必ず、「発生した状態」と「対処」と「影響範囲」を記録してください。
そして「作業手順書に、その情報を付け加えて今後の発生に備える」ようにしてください。
作業手順書の見直し
「作業手順書の見直し」は、最低でも「年に1回は必要」です。
これは、「機械の入れ替えやパソコンのバージョンアップ」などにより、「過去に作成した手順書に変更が発生している可能性」がある為です。
作業環境はいつまでも同じではありません。
また、「イレギュラーの発生」もあります。
そして、「何年も放置されている作業手順書」が存在する場合、必ず「見直しをおこなうべき」です。
理由は、その「作業手順書が原因でイレギュラーを発生させてしまう可能性がある」為です。
「作業が別の作業に取り込まれている」「新しい環境に対応していない」、このような事を知らずに「古い作業手順書を使用してイレギュラーを発生させてしまうお話し」は、良く聞きます。
「作業手順書の定期的な見直しや更新は、余計な混乱を防ぐ効果」があります。
忘れずにおこなうようにしてください。
以上、「作業手順書の注意点」になります
一度に「全ての作業手順書の見直し」をおこなうと「労力や時間」がかかります。
しかし、「日常的に作業の棚卸しをおこなう」事で、「必要な作業」が明確になる為、「手順書の見直しにかかる労力や時間」を減らす事ができます。
また、「機械の入れ替えやパソコンのバージョンアップが発生した」時、「イレギュラーが発生した」時は、「作業手順の確認」と同時に「作業手順書の確認」もおこないます。
これを「職場でルール化する」事で、「作業手順書が原因によるイレギュラーの発生」を抑える事ができます。
simacatより一言
「作業手順書」の多くはパソコンにて作成されます。
よって、「保管」についても気を付ける必要があります。
「バージョン管理システム(VSS、CVS、SVN、Gitなど)」を利用する事で、「バージョン管理とバックアップ」が同時におこなえます。
「Excelなどで作業手順書」が作られている時、手動で管理している場合、「ファイル名+バージョン」などをよく見かけます。
悪い事ではありませんが、人がおこなう以上、「上書き」や「意図しない変更」などが起こる可能性があります。
ソフトウェアで管理をおこなう方が「手間」と「安全性」の両面から有効です。
また、「手順書がまったく存在しない」場合は、業者にお願いするのも一般的になっています。
お話は変わりますが、「図解情報」で「フロー図」や「タスク担当者一覧」を挙げました。
少々マニアックになりますが「PlantUML」という物があります。
【外部リンク】一目でわかるPlantUML(https://plantuml.com/ja/)
詳細は省きますが、それほど難しくありませんし、サーバー上でも簡単な図なら作成可能です
なお、サーバー上で利用する場合は「情報漏洩」に十分にご配慮頂きたいと思います。
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