高齢化社会となりつつある今、安楽死や尊厳死について考える必要がある!!
はじめに
今回のテーマは人によって賛否はあると思います。
お気を悪くされる方には、申し訳ありません。
「安楽死」や「尊厳死」は、人によって色々と考えさせられるテーマです。
それが良い事なのか、悪い事なのか、それも分からない状態なので意見が異なるのは当然だと思います。
しかし、「どうせ、意見が違うから考えない」という事も、違うと思います。
皆さんがそれぞれ、「安楽死」や「尊厳死」について考え、自分の意見を持つことが、今後の社会には必要な事となると思います。
その是非を問われた時、しっかりと自分の意見を述べられる様にしておくべきだと思います。
安楽死や尊厳死の基本
安楽死や尊厳死は死を与える行為
「安楽死」や「尊厳死」は「自殺幇助(ジサツホウジョ)」、もしくは「殺人罪」に当たると言われています。
個人の判断で、人を死に至らしめる行為は、日本の法律では認められていないからです。
しかし、終末医療の現場では、事前に本人の意思表明があり、回復の見通しがなく、家族や親族の了解を得ている状況では、痛みを緩和しつつ、延命措置を行わずに死を選択するケースがあります。
これが、現代の日本の「安楽死」や「尊厳死」と言われている行為です。
これは、憲法に記されている「基本的人権の尊重」に基づき、「自分の意思を尊重する行為」と言われています。
「法律の土台である憲法に記されている考え方」となっています。
安楽死や尊厳死はどの様に行われるのか
「安楽死や尊厳死はどの様に行われるか?」、どの様なイメージをお持ちでしょうか?
現在、スイスを始めとする欧州と、アメリカのいくつかの州で、「安楽死」や「尊厳死」が認められています。
例えば、スイスでは安らかに眠り、そして、死にいたる事できる「液状の薬」をコップに入れられ、目の前に置かれるそうです。
そのコップの中身を飲むのは、自分自身の意思でおこないます。
このやり方の怖い所は、「液状の薬を途中で飲むのをやめてしまうと、重度の障害が残る可能性がある」点です。
「しっかりとした意思」の上で行わなければいけない、厳しいやり方となっています。
また、アメリカのとある州の例ですが、点滴を用意されるそうです。
点滴の注入開始は、自分の意思で行います。
点滴ですので、薬が効くまで、少々時間がかかってしまいます。
その間に、「後悔」をしてしまう人も少なくはないそうです。
スイスのやり方もアメリカやり方も、イメージとは少々異なっているのではないでしょうか?
我々が持つ安楽死や尊厳死のイメージ
日本人の我々が持つ「安楽死」や「尊厳死」のイメージは、「安らかに眠る様に」という感じでしょう。
体に管をつけられ、意識もないのに無理やり生かされるくらいなら、意識のないまま死なせて欲しい。
それが、我々の持つ「安楽死」や「尊厳死」のイメージです。
酸素マスクを付けられ、体に管を通され、無理やり生かされている。
痴呆症にて、知らない間に多くの人に迷惑をかけている。
誰かの介助なしでは、普通の生活を送る事ができない。
それなら、「自分の意思で死を選択できた方が良い」となります。
安楽死や尊厳死を考えるケース
尊厳を守る
「安楽死」や「尊厳死」は、自分の尊厳を守り、尊重して欲しいという願いです。
孤独死となり、1週間経ってから見つかり、部屋には畳を毟った後が残っており、食べ物に困っていたなどと、ニュースで流れます。
この人は、その様にしたかったわけではない筈です。
「安楽死」や「尊厳死」の制度があったとしたならば、どうしていたでしょうか?
その選択ができる事が、重要なのです。
「尊厳を守るか否かの選択は、個人に委ねるべきではないのか?」と考えた時に、「安楽死」や「尊厳死」と言う言葉が出てきます。
介護疲れ
ニュースで時々、老夫婦の切ないニューズが流れます。
例えば、奥様が認知症を患ってしまい、正常な時には「もう終わりにして欲しい」と訴えるそうです。
そして、異常行動を起こしては、旦那様がサポートをします。
お互いに心が疲れ果てた末、、旦那様が奥様の異常行動が激しい時に、行為に及んでしまいました。
いわゆる、介護疲れです。
施設や病院に入れる金銭的な余裕がなく、子供や親戚とも疎遠になっている状態ですと、追い込まれてしまいます。
そして、この旦那様は「殺人罪」となりました。
もし、安楽死や尊厳死が認められていたら、どの様な結果となっていたのでしょうか。
無理やり生かされる
現役の頃に、沢山のお金を稼ぎ、厚生年金を沢山納めており、年金を沢山頂けるご家庭で、「治療費よりも年金の方が多く頂ける」場合に、こうした行為が見られるそうです。
政府も、こうした行為を防止する為に、「入院の日数が長くなるにつれて、入院費や治療費の補助を低くしていく」といった対策をしている様です。
しかし、こんな事をするご家族ですので、「家族を殺すつもりか!」と病院で怒鳴り散らす方がいるそうです。
しかし、「本当に年金が目当てなのか」を立証する事はできず、「家族を殺すつもりなのか」と言われてしまうと、治療をせざるを得ないのです。
人の尊厳とはお金の上に成り立っているのでしょうか?
安楽死や尊厳死の負の部分
人の考えは変わる
人の考え方は、時の経過とともに変わってしまう可能性があります。
ある時点では、先を諦めていたかも知れませんが、何かのキッカケで、考えが変わるかも知れません。
実に、あやふやなのです。
「安楽死」や「尊厳死」を決めた時と、実際にその時が訪れた時とで、考えが変わってしまう可能性があります。
危篤状態となり、意識が戻らない日が何日も続いた時、「本当に本人が望んでいる事なのか?」を立証する事はできません。
それでも、現在は終末医療の現場で、事前に本人の意思表明があれば、意識不明となった時に、「医師やご家族が認めた上」で「安楽死」や「尊厳死」が行われるケースがあります。
その様に考えると、少々怖い制度とも言えるのです。
事故や病気で意識が回復しない
何かの事故や病気で、意識不明の状態が続いたとします。
その段階では、「もう回復は難しいだろう」と、医師から判断をされました。
その時点で、「安楽死」や「尊厳死」を認めるのでしょうか?
未来の医療技術の進歩に期待をして、延命をする人が殆どだと思います。
「安楽死」や「尊厳死」を行う為の条件は、非常に難しいのです。
ご家族が延命を希望している
無理やり生かされているケースではなく、本当にご家族に愛されている方もいます。
意識のないご本人は「安楽死」や「尊厳死」を希望していても、ご家族は「それでも生きていて欲しい」と願う場合はどうするのでしょうか?
現在の手順では、「安楽死」や「尊厳死」ができないケースとなりますが、「安楽死」や「尊厳死」が認められた時、本人が希望していたからと言って、執行されてしまうのでしょうか?
もし、執行されるのであれば、ご家族はとても辛い思いをしてしまいます。
死を迎えるというのは、「本人が良ければそれで良い」と言う訳ではないのです。
simacatから一言
「安楽死」や「尊厳死」というテーマは、本当に奥が深いです。
それは、「人の意思を固定させておく事は難しい」からです。
そして、「人を終わりにしてしまう行為」でもあるからです。
普段から、ご家族や親しい間柄の方とは、「自分がどの様な考えを持っているのか?」をしっかりと伝えて置く事で、本当に「安楽死」や「尊厳死」を望んでいるのかを知って頂く事が重要となります。
「安楽死」や「尊厳死」は「自殺」と混同してしまいがちです。
これ以上、できる事が無くなり、それ以上の苦痛を与えない様にする事が「安楽死」となり、これは自分が決める事となります。
一方、病状の進行などにより、その人の尊厳が守れなくなる時は「尊厳死」となり、これは他人が決める事となります。
しかし、どちらも、今まで状況と現在の状況で判断をし、「今後の様々な可能性を終わらせる行為」となります。
「安楽死」や「尊厳死」を選択する事は、非常に難しい問題なのです。
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