【ざっくり解説】近隣窮乏化政策とは?!通貨安との関係とは?!わかりやすく簡単解説?!
聞き流し用動画
はじめに
「近隣窮乏化政策」という言葉をご存知でしょうか?
今回は「近隣窮乏化政策」について「ざっくり解説」を致します。
実際に世界の国々でおこなわれた、意外に「エグい政策」です。
現在もどこかの国でおこなわれているのかも知れません。
あわせて「近隣窮乏化政策と通貨安の関係」についてもご紹介します。
近隣窮乏化政策とは
「近隣窮乏化政策」とは、「ある国が自国の経済を優先し、貿易相手国などの近隣諸国の経済を犠牲にする政策のこと」です。
「自国の利益の為に他の国に不利益をもたらすような行為」を指しています。
すごく簡単に例えると、「自分の為に、ご近所を困らせるという行為が国単位でおこなわれる」ということです。
例えば、近所で自分の家だけがパンを作れるとします。
それを、自分だけで全部食べてしまうとします。
すると、ご近所の人はパンが食べられなくなります。
話しはかなり小さいですが、これも「近隣窮乏化」になります。
そして、前述の「近隣窮乏化」に「ある国が自国の経済を優先し」とあるように、「ある国が、自分たちの国を豊かにするために、他の国を困らせるようなことをする」などになります。
「近隣窮乏化」では、ある国が自国の経済を優先し、まわりの国々を経済的に困窮させるような政策を「近隣窮乏化政策」と呼んでいます。
それでは、「具体的にどのようなことがおこなわれるのか?」になります。
「一般的な近隣窮乏化政策」をご紹介します。
自国の利益優先
自国の経済成長を最優先に考え、他の国との関係を犠牲にすること。
例えば、輸出補助金を支給して、自国の製品を安くして輸出を促進させるなどがあります。
貿易の制限
他の国からの商品の輸入を制限したり、自国の商品を安くしたりして、「外国の製品を市場から締め出す」などになります。
例えば、関税により、外国から輸入される製品に非常に高い税金をかけ、自国の製品を保護するなどがあります。
通貨操作
自国の通貨を安くすることで、自国の製品を安く販売して輸出を促進する一方で、他の国の製品を高くして輸入を抑制します。
例えば、自国の通貨を意図的に安くすることで、自国の製品を安く販売することができ、これにより輸出が促進されます。
以上、「一般的な近隣窮乏化政策」になります
「近隣窮乏化政策」がもたらす影響は、「自国」にとっても「近隣国」にとっても、さまざまな「負の側面」があります。
「自国」と「近隣国」の負の影響をご紹介します。
はじめに「自国の負の影響」です。
報復措置
自国の政策に反発した近隣国から、同じような政策(関税の引き上げなど)を受ける可能性が高まります。
貿易摩擦
貿易相手国との間に貿易摩擦が生じ、経済関係が悪化します。
国際的な孤立
国際社会から非難され、孤立する可能性があります。
長期的な経済成長の阻害
保護主義的な政策は、経済の効率性を低下させ、長期的な経済成長を阻害する可能性があります。
以上、「自国の負の影響」になります
次は「近隣国の負の影響」です。
経済成長の停滞
輸出が減少し、経済成長が鈍化したり、経済危機に陥ったりなどの可能性があります。
雇用の減少
輸出産業を中心に、雇用が減少する可能性があります。
生活水準の低下
輸入品の価格が上昇し、国民の生活水準が低下する可能性があります。
以上、「近隣国の負の影響」になります
そして、「近隣窮乏化政策」は、「自国」と「近隣国」のみならず、「世界経済」にも負の影響を与える可能性があります。
「世界経済への負の影響」をご紹介します。
貿易の減少
各国が自国の保護主義的な政策をとることで、世界の貿易量の減少が懸念されます。
経済のグローバル化の後退
世界経済の相互依存性が低下し、経済のグローバル化が後退する可能性があります。
各国の経済成長の鈍化
各国の経済活動が鈍化し、世界全体の経済成長が遅れる可能性があります。
通貨戦争への発展
各国が自国の通貨を安くすることで、輸出を促進しようとする「通貨安競争」が激化し、通貨戦争に発展する可能性があります。
国際協力の阻害
各国が自国の利益を優先するため、国際的な協力が難しくなり、世界規模の問題解決が遅れる可能性が生まれます。
以上、「世界経済への負の影響」になります
「近隣窮乏化政策」は自国や近隣諸国のみならず、世界経済に対しても負の影響を与える可能性があります。
そして、最終的には「自国の孤立の可能性を高める」ことから、長期的に良い政策ではありません。
よって、「近隣窮乏化政策」をおこなうよりも、「国際的な協調」「自由貿易」という政策のほうが長期的には「自国の経済発展には効果がある」とされています。
近隣窮乏化政策と通貨安の関係
「近隣窮乏化政策」の中で「通貨操作」というキーワードが出てきました。
これは「自国の通貨を安くする」ことになります。
それでは、「自国通貨安の目的」をご紹介します。
輸出の促進
通貨安になると、自国の輸出品が外国市場で価格競争力を持つようになります。
これにより、輸出が増加し、自国の経済成長が促進される可能性が生まれます。
国内産業の保護
通貨安は輸入品の価格を上昇させるため、国内消費者はより高価な輸入品を避けて、国内製品を購入するようになります。
これにより、国内産業が保護される効果があります。
以上、「自国通貨安の目的」になります
合わせて、「相手国視点で悪影響となる事柄」をご紹介します。
輸出競争力の低下
相手国の価格に対して、輸出品の価格が高くなるため、輸出業者は競争力を失い、輸出が減少する可能性があります。
貿易収支への影響
輸入が増加、輸出が減少となる為、貿易収支に影響を与えることになります。
経済成長の鈍化
輸出業の不振により、経済成長が鈍化する可能性があります。
以上、「相手国視点で悪影響となる事柄」になります
「自国からの輸出」は「他国から、お金を受け取る行為」になります。
「自国への輸入」は「他国へ、お金を支払う行為」になります。
言い換えると、「自国通貨安」になった時、「他国から、お金の受け取りの機会が増える」、「他国への、お金の支払いの機会が減る」という構図になります。
これは「他国にお金を流さず、自国内でお金が回りやすくなる」という状況です。
よって、「自国の経済を活性化させる効果がある」となります。
ちなみに、1930年代の世界大恐慌時に多くの国が競って「自国の通貨安政策」をおこない、結果的に世界貿易の縮小を招き、経済状況がさらに悪化したことが知られています。
とはいえ、「通貨安」が悪いわけではありません。
問題なのは「近隣窮乏化政策」になります。
時々、なんの政策もしていないのに、「円安ドル高」になることがあります。
これは「近隣窮乏化政策」をおこなっていなくても、「アメリカ経済の状況や世界経済の状況により普通に起こること」という認識になります。
言い換えると、「自然に、偶然に、たまたま起きたこと」になります。
これは「今なら宝くじが当たります」という状況です。
この状況で「宝くじを買わない選択をする」のが、昨今の日本政府の政策になります。
この日本政府の動きについては、「疑問」を感じざるを得ません。
simacatより一言
「近隣窮乏化政策」の「ざっくり解説」でした。
「自国が通貨安の時は自国の経済を活性化させるチャンス」です。
本来ならば「官民一体で、そのチャンスを活かすべき」です。
「日本が円安」の時、「日本の価値が下がった」「日本の力が落ちた」など、やたらと「不安を煽る情報」が目立ちます。
しかし、「官民一体で、そのチャンスを活かす」ことができれば、「円安の効果による経済成長」に期待することができます。
これは、「1930年代の世界大恐慌の時に多くの国が競って通貨安政策をおこなった」と言う実績が物語っています。
この「経済成長」により、「雇用率や所得を高い位置で安定させる」ことができます。
これは、「日本が魅力的な状態」になったと言えます。
そして、「日本が魅力的な状態」になると「外国との取引が増える」ことになります。
理由は「世界の企業や投資家が日本に投資して儲かりたい」と考えるからです。
そうすると、「海外の誰かが日本で日本の何かを買う時は円が必要になる」為、いやでも「日本円」が必要になります。
その結果、「円」が買われます。
そして、「円高」になります。
「円高」になると、「自国が通貨安の状態」とは逆に「他国からのお金の受け取りが減る」、「他国へのお金の支払いが増える」ことになります。
これは「日本から国外に出ていくお金が増える」と言うことです。
「雇用率や所得が高い位置で安定している状態」ならば問題ありません。
しかし、「雇用率や所得が高い位置で安定していない状態」の時は問題になります。
理由は、「日本から国外に出ていくお金が増える」ので「日本人の雇用率や所得が悪化する可能性が高くなる」為です。
「円安でエネルギー価格が上がった」、「だから円安はけしからん」という風潮が目立ちます。
「けしからん」という思いは問題ありません。
しかし、「円高」にメリットがあるように、「円安」にもメリットがあります。
「近隣窮乏化」という国を挙げての政策は問題です。
しかし、「自然に起きたこと」ならば、「日本経済の成長」の為に、そのチャンスを大いに活かすべきです。
コメント